地中海に浮かぶリゾートアイランド、フランス領コルシカ島で行われる伝統のオール・ターマック・ラリー。 毎年のように安全性が問題視され、開催が危ぶまれるコースは切り立った崖の上を走る山岳路が多く、 道幅は離合するのも難しいほど狭く、荒れたアスファルトは雨が降ればグラベルよりも滑りやすいと言われる。 そんな路面コンディションからなる、Uターンコーナーが連続するツイスティーなスペシャルステージが ツール・ド・コルスの特徴であり、ラリーカーはブレーキングドリフトやサイドターンでコーナーを駆け抜けていく。 テクニカルなコースでトラクションを稼ぐためにドライバーは、いかにアクセル全開の時間を長く取るか、 いかにハンドルが真っすぐの時間を長く取るかに凌ぎを削る。 コーナーの入り口、限界までブレーキングを遅らせ、最小限のロスで車の向きを変え、全開で立ち上がっていく。 数十キロもあるステージひとつひとつをコンマ差で競い合う凄さ。 勝利へのラインは一つしかない。それを一番速くトレースできた者のみが手にできる栄冠。 道幅の狭いターマックではラインのマージンが少なく、僅かなミスが、まさに命取りとなる。 ひとたびラインを踏み外せばマシンはコースアウトし、崖下へ転落し、命を落とす危険がある。 ドライビングテクニックだけでなく、その恐怖に打ち勝つ勇気を持ち合わせたドライバーでないと このラリーを制することは、できない。 幾千ものコーナリング、その度に行われるチキン・レース。 生か死か、究極の限界ギリギリバトル。 "ターマックの狂宴" それがツール・ド・コルス。 |